絵画制作一覧

色鉛筆画・制作過程(第6回)

ようやく全体にしっかり色が入りました。

空の星と、少女の周りに漂う光の粒は、練りゴムや電動消しゴムを使って白く抜きます。
絵の具なら、スパッタリングで簡単に満天の星空を描けますが、色鉛筆では残念ながら一個一個描くしかありません。
その分、配置に気配りが行き届くので、そういうものと割り切ってコツコツやります。

こうして完成図が明確になると、同時に仕上がりレベルも見えてきて、ちょっと冷静になります。
前もって下絵を作って、それを横目に見ながら描き進めるので、「全然ダメ」という惨状になることは滅多にありませんが、だいたいいつも「まあ、当たらずとも遠からずだな」というところに落ち着きます^^;

ここからもう一度全体に戻って、細部の描き込みや気になるところの修正をしていきます。
描いた直後は、「うん、がんばった、こんなもんでしょ」と甘い判断になりがちなので、一度時間を置くのも有効です。
「絵を寝かす」という言い方をしますね。
パッと見の第一印象で違和感を覚えたところを一個ずつ潰していくことで、少しずつ完成度が上がってきます。
ここが正念場です。

 
~明日、最終回


色鉛筆画・制作過程(第5回)

前回のステップで後回しにしていた衣の陰影とアウトライン付近の背景が入り、形がはっきりしてきました。

うちには等身大のマネキンが1体あり、布を巻き付けてシワのでき方や光があたったときの影を確認するのに使うのですが、大きく風になびいているシーンは、簡単には撮影出来ないので、脳内シミュレーションと、似たシチュエーションを他の画家がどう描いたか、なども参考にしながら、それっぽく見えるように作り込んでいきます。

こういう「想像で描く要素」が多くなると、必然的にリアリティは下がります。
いわゆる「写真みたい」な絵が目指すスタイルなら、目の前に用意できる物だけで絵を構成するか、せめて個別の写真資料は無いと難しいと思います。
現実には無い世界を描こうとすると、すべての要素で完璧な資料を用意するのは不可能なので、どのくらいのリアリティでまとめるかが大事です。
無理に追求すると、描けば描くほど嘘になってしまいます。
そこのところがちょうどいい絵は、スッと世界に入っていけて、いつまでも見ていたいと感じます。

 
~明日に続く


色鉛筆画・制作過程(第4回)

引き続き、どんどん色を乗せていきます。

本来なら衣や髪のベースを作るのが先なのですが、手の上の光をどう描くかがずっと懸念材料だったので、先行して描き込みました。
他の箇所も、下絵の「こんな感じ」より一歩踏み込んで、ちゃんと描かなければいけないので、ある程度全体に色が乗ってくるまでは落ち着きません。
とりあえず「まあなんとかなるだろう」という所は後回しにして、「ここはいい感じに描けるか怪しいな」という所から手を付けていきます。

この段階では、多少粗いタッチが残っていても、まだまだあとから手を加えるので、気にしすぎないように。
時々絵を離れて見て、全体の雰囲気やシルエットがきれいに描けているか確認するのも大事です。

手順については、一応基本的な考え方が頭に入っていれば、あとは自分の性に合った描き方を見つけて、気持ちよく取り組めるようになれればいいと思います。

 
ここで少し画材の紹介を。

色鉛筆はカランダッシュのパブロ、紙は合成紙に水晶の粉末をコーティングしてオリジナルの下地を作っています。
目の細かい紙ヤスリの上に描いているような感覚と言えば、少しは伝わるでしょうか。
アクリル絵の具用の下地材(ジェッソ)を細目の水彩紙に塗るだけでも、似た描き心地を得られるので、気になった方はぜひ一度お試しください。

使った色は、今回は全体的に青系で統一された絵なので、一番濃い部分でも、暗い青(149 Night Blue)に留めてあります。
普通の光源の絵なら、青+茶で最暗部を締めていきます。
グレーや黒は、忠実に色を再現したいときにはありですが、イメージ重視で光を感じる鮮やかな絵を描きたいときは、あまり使わないほうがいいと思います。
補色に近い色をうまく重ねて「グレーっぽい色」「黒っぽい色」を出していきます。

 
~明日に続く