額装とは

絵描きは、よく自身の作品を我が子に例えて、「売れる:お嫁に行く」「額装する:おめかしする」なんて言い方をします。
言い得て妙、たしかにそんな心理になりますね。

ここしばらく生徒さんの教室展出展作の額装を何枚もお手伝いして、ふと、作品を料理に例えるのもありなんじゃないか、と。
どんなにおいしい料理でも、盛り付けたお皿が一流レストランの美しい食器なのか、スーパーのお惣菜コーナーの透明パックなのかで、全然味も変わってきますよね。
まあ、高級食器とまではいかなくても、せめて、プラスチックよりは陶器やガラスのお皿で食べたいというのが人情だと思います。

昨今は資材高騰で、額縁の値段もかなり上がっていて、今回の展示で主に書いてもらっているB4/F6に合う大きさは、ちょっと凝ったものだと一個1万円近くになってしまい、なかなか心苦しいのですが、きちんと絵に合わせて選んだ額に収まると、やはり絵自体の魅力も最大限に引き出されるので、そういうところも経験して感じてもらえるとうれしいです。

余談ですが、じゃあ、現代アートによくある、額装せずにパネルのまま展示しているのはどうなのか。
さすがに料理をテーブルに直ってわけにはいかないので、まあ白無地で何の装飾もない必要最低限のザ・シンプルなお皿に盛り付けたって感じでしょうか。
ただ、実際の展示では、額縁がない分、壁がお皿みたいなものなので、壁が汚れていたり、ピンの穴だらけだったりしたら、作品の魅力は半減です。
あと、キャンバスだったら、側面が釘打ち見せっぱなしなんてのは、料理の周りに包丁や計量スプーンが散らかっているような雑さを感じ、ちゃんと片付けてから出そうよ、と思ってしまいます。

せっかく見に来てくれるお客さんへのせめてものおもてなしとして、きちんと整えた作品を並べる。
上手い下手ではなく、そういう「できる限りの気配りをしました」という部分も、きっと見る人の心になにかしら響くのではないかと思います。

レイアウト作成のために、続々と送られてくる作品画像を見て、そんなことを考えてました。