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色鉛筆画・制作過程(完成)

完成です。

人物を宙に浮いた感じにしようと重心を少し左に寄せていたため、絵全体がなんとなく左に傾いて見えていたので、星や星雲の配置を調整してバランスを取りました。
また、髪の広がりや、衣のひだ、他にも所々に小さな違和感があったので、修正しました。

さすがにここまで来て大手術は出来ないし、したくもないので、修正できる範囲はある程度限られていますが、時間と気力の許す限り、少しでも描きたかった絵に近づけられるよう粘ります。
やめ時の判断はいつも悩みますが、「満点ってわけじゃないけど、これ以上手を加えても良くなるか崩れるか、半々だな」くらいの感覚になってきたら、その辺が潮時だと思います。
締切のある絵なら、自ずとそこがデッドラインになるのでわかりやすいですね。

とことんまで一枚の絵に向き合えば、失敗した原因や、どうすればよかったかなど、たくさんの発見があるはずなので、次の一枚がよりよい一枚になるように活かしていければいいと思います。

 
というわけで、7日間にわたって下書きから完成までを紹介してみましたが、いかがでしたでしょうか。

絵の描き方は十人十色。
その一つ一つが、どうすれば最高の一枚を描けるか、長い模索の中で、その人なりの経験から導き出された答えなので、どれが正解というのはありません。
迷ったときは、描きたいタイプの絵を描いている人の描き方を真似るのが一番わかりやすい道だと思いますが、騙されたと思って違う描き方をしてみると、案外新しい発見があったりもするので、とにかくいろいろ試してみてください。

自分にとって気持ちよく描ける方法を見つけられれば、絵を描くことは長く楽しめる趣味になると思います。

 
タイトル:Rebirth
サイズ:468mm×318mm
画材:色鉛筆(カランダッシュ・パブロ)/合成紙

 
~おしまい


色鉛筆画・制作過程(第6回)

ようやく全体にしっかり色が入りました。

空の星と、少女の周りに漂う光の粒は、練りゴムや電動消しゴムを使って白く抜きます。
絵の具なら、スパッタリングで簡単に満天の星空を描けますが、色鉛筆では残念ながら一個一個描くしかありません。
その分、配置に気配りが行き届くので、そういうものと割り切ってコツコツやります。

こうして完成図が明確になると、同時に仕上がりレベルも見えてきて、ちょっと冷静になります。
前もって下絵を作って、それを横目に見ながら描き進めるので、「全然ダメ」という惨状になることは滅多にありませんが、だいたいいつも「まあ、当たらずとも遠からずだな」というところに落ち着きます^^;

ここからもう一度全体に戻って、細部の描き込みや気になるところの修正をしていきます。
描いた直後は、「うん、がんばった、こんなもんでしょ」と甘い判断になりがちなので、一度時間を置くのも有効です。
「絵を寝かす」という言い方をしますね。
パッと見の第一印象で違和感を覚えたところを一個ずつ潰していくことで、少しずつ完成度が上がってきます。
ここが正念場です。

 
~明日、最終回


色鉛筆画・制作過程(第5回)

前回のステップで後回しにしていた衣の陰影とアウトライン付近の背景が入り、形がはっきりしてきました。

うちには等身大のマネキンが1体あり、布を巻き付けてシワのでき方や光があたったときの影を確認するのに使うのですが、大きく風になびいているシーンは、簡単には撮影出来ないので、脳内シミュレーションと、似たシチュエーションを他の画家がどう描いたか、なども参考にしながら、それっぽく見えるように作り込んでいきます。

こういう「想像で描く要素」が多くなると、必然的にリアリティは下がります。
いわゆる「写真みたい」な絵が目指すスタイルなら、目の前に用意できる物だけで絵を構成するか、せめて個別の写真資料は無いと難しいと思います。
現実には無い世界を描こうとすると、すべての要素で完璧な資料を用意するのは不可能なので、どのくらいのリアリティでまとめるかが大事です。
無理に追求すると、描けば描くほど嘘になってしまいます。
そこのところがちょうどいい絵は、スッと世界に入っていけて、いつまでも見ていたいと感じます。

 
~明日に続く