規格品の額縁は手頃なお値段で重宝しますが、物によっては、あまり丁寧に作られているとは言えないものもあります。
多くの種類が、オーダーメイドも受注しているので、倍以上の金額を払ってそちらを利用すれば、上質なものを手にすることは出来ますが、中には規格専用のものもあり、「どうしてもこれを使いたい」となると、選択肢は2つ。
細部の仕上がりは妥協するか、自分で補修するか。
というわけで、今回は補修についてです。
昨年の個展で初めて使って以来お気に入りのラーソンジュール製「カレ(白艶)」。
細身の竿に控えめの彫り装飾、塗装はエナメル白。
明るい色調の柔らかな作品によく合いそうな素敵なデザインです。
お値段は、大衣(509×394mm)で¥7700と規格額の中ではそこそこする方ですが、通販なら35%引き程度で販売しているお店は何店もあるので、実質¥5000といったところでしょうか。
ただ、残念なことにこの額、四隅の組み合わせ部分の仕上げが非常によろしくない。
彫りの段差面が木地のままなので茶色が目立つし(きちんと作ってあるものは、目立たないように表面と同じ色が塗ってあります)、側面の隙間もそのままで、おまけに塗膜が欠けていたりと、本当に45°にカットして組んだだけという代物なのです。
まあ、普通は額縁の側面なんて視界に入らないから、展示するだけなら気にしなくてもいいのかもしれませんが、販売品として値段をつけるとなると、ちょっとこのままというのはいただけません。
補修方法ですが、使うのは車の補修用のタッチアップペンです。
ホワイトだけで何十色もありましたが、ホームセンターにはサンプルがなかったので、適当に選びました。
表面や彫りの段差部分は薄く、側面は一度紙ヤスリで広めに落としておいてから盛り上げ気味に塗ります。
タッチアップペンの付属ブラシではこんな繊細な作業は出来ないので、極細のナイロン筆を使います。
はみ出した部分は、シンナー薄め液で落とせるので、多少広めに塗っても大丈夫です。
完璧に補修跡がばれないように仕上げることは難しいですが、補修前よりはぐっと良くなったと思います。
白い額でも、形状の単純なものなら、パテを刷り込むだけで簡単に溝を埋めることも出来ます。
これは、某額縁製造会社で働いていた時に、実際に使っていました。
限られた予算で品質の良いものをとなると、多少のDIYも必要ですね。